閉鎖的なのは学校なのか、地域なのか?

実は、本務であるインクルージョンネットの活動の他に、今年度から配置の始まった神奈川県立高等学校のスクール・ソーシャル・ワーカー(SSW)として勤務しています。

今年度スタートとしたばかりの事業でまだ神奈川県内に10名しかいないので、地域に一人ずつしかおらず、担当する地域が広すぎて普段勤務する拠点校以外はなかなかいく機会がないのですが、それでも会議やお電話でのアドバイスなどを通じて多くの学校の先生方とお話をさせていただいております。

この2ヶ月のこうしたSSWとしての勤務で、NPO法人パノラマの活動でお世話になっている田奈高校さんや、これまでのインクルージョンネットよこはまの相談支援の中で関わってきた高校の先生方との連携を通じて感じていたことの一つが、いよいよ確信に変わってきました。

それは

「学校は閉鎖的だっていうけれど、本当は閉鎖的なのは地域の専門機関なのではないか?」

ということです。

先生方のお話を聞いていると、実は既に担任の判断や、教育相談コーディネーター、生徒指導や学年のチーム等でケースカンファレンスをした結果、外部の専門機関に相談していて、でもうまくいっていない、というような状態でご相談にいらっしゃることがかなりあるのです。

つまり、外部の専門機関に相談したけど、うまくいかなくて、行き詰まってしまっている、そんな状態だということです。

外部の専門機関というのは例えば児童相談所、福祉事務所、医療機関、役所の子育てや女性相談、青少年相談等の窓口などです。

聞いてみると、地域で支援しているとご相談者の方からよく聞くような「さもありなん」という専門機関・窓口のまずい対応のエピソードばかりです。

地域の、あるいは学内のソーシャル・ワーカーとしては、一度うまくいかなかったその機関や窓口と生徒や学校がうまく繋がれるように支援をするわけですが、そもそもこうした専門的なソーシャルワーカーが入らなければうまく繋がらないというのが大問題です。

学校の先生は子ども若者の学びと学内での生活を支えるお仕事をする専門家ですが、当然福祉の専門家ではありません。一つの方向としては教員の社会福祉につなぐコーディネート力を向上したり、SSWを配置するなどです。
しかし、地域の専門機関はそんなものがなくてもご相談に訪れた子ども若者や、学校の教職員初め子ども若者を見守り心配する地域の大人たちを、しっかり受けとめなくてはならないのです。

もちろん、地域の専門機関や専門職にも熱心な所・人とそうでない所・人、力量のある所・人、ない所・人がいるように、学校や教職員も千差万別のようです。

しかし、既に学校だけを「閉鎖的で困った機関」にする段階は終わっていると感じます。むしろ、地域に開かれてきた学校を地域福祉や地域医療がどう受け止めるのか?という段階に既に入っています。

さて迎える福祉や医療の関係者として、私たちは学校のSOSを地域でどう受けとめていきましょうか?